ご挨拶

 この度日本医療コンコーダンス研究会理事長を拝命いたしました木下節子でございます.

本研究会は,服薬アドヒアランスの向上を目指した,保険薬局の薬剤師を対象とした勉強会に始まり,アドヒアランス研究会と称し,活動しておりました.

従来医療関係者の間で使用されていた“コンプライアンス”は,患者さんが自身の薬物治療に対して医療者の指示をどの程度守っているかに視点が置かれ,コンプライアンスの良し悪しで判断されていました.しかしその後,個人の権利を擁護する考え方が進み,批判的な意味合いを和らげた“アドヒアランス”が使われるようになりましたが,本質的にコンプライアンスと変わるものではありませんでした.

1990年代半ばになり,医療関係者や社会科学者らが,“コンコーダンス”という新しい概念を展開しました.これは,患者さんと医療者が,治療方針について“合意”するという意味合いを持っています.治療を受ける当事者も含めて治療方針について話し合い,最終決定するのは患者さん本人であり,医療者側が示した治療を受けないという決定もありうるのがコンコーダンスの最も重要な概念です.薬剤師は,薬の専門家として,“コンコーダンス”におけるキーパーソンの役割を担っていると考えられます.

この新しい概念の元に,薬剤師だけでなく,地域包括ケアを推進する医療関係者や,そのシステムを担うコンピュータサイエンスの専門家が集まり,医療及び保健分野の発展を目指し,一般社団法人日本医療コンコーダンス研究会(JAMeC)が,平成28年(2016年)6月に発足いたしました.

医療・介護に対する考え方や,病院・薬局及び製薬企業を取り巻く環境が進化する中で,地域包括ケアの一翼を担う者として,薬剤師は,それぞれの立場で真に求められる姿を目指し,日々模索を続けています.このような時期にあたり,JAMeCは,微力ではございますが,より良い未来を実現できるよう,各方面との事業並びに教育,学術の広い分野に渡り,協業・サポートを行い,社会に貢献して行きたいと考えております.

本研究会に興味を持たれた方は,積極的にご参加いただけることを期待しております.今後ともより一層ご指導ご鞭撻を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.

 

 

木下 節子